WSC世界大会に参加して

WSC世界大会に参加して

 

                                            高校3年6組 水谷優奈

 

私は6月21日から28日にかけてマレーシアのクアラルンプールにて行われたWorld Scholar’s Cup世界大会に参加してきました。大会はjunior(中学生)部門とsenior(高校生)部門に分かれていて、世界約50カ国から合わせて2500人もの中高生が参加しました。この大会では与えられた議題に対して自由に論述するライティング、チームディベート、60分間で6科目120問のマークテストに答えるスカラーズチャレンジ、スクリーンに映し出された問題に対してチームで答えを出すスカラーズボウルの全てが英語で行われます。世界大会だけあり、東京大会とは比べものにならないほど難易度の高い問題ばかりが出題されました。

 その中でも最も印象深かったのがチームディベートです。ディベートは各チーム3回行われます。議題は、「遺伝的でない能力を認めるべきか否か」「どの国にもディズニーランドを作るべきか否か」「スーパーマンは国の秩序を乱しているか否か」の3つで、私のチームは3回とも賛成派に振り分けられました。今年のメインテーマが「The World Unbound(解放された世界)」であったため、表現の自由や個人の尊重などに重きが置かれていたと思います。第一言語が英語でない国の生徒が多かったものの、どの国もインターナショナルスクールの生徒が多く、流暢な英語で自分たちの主張を述べていました。中には非常になまりの強い国の生徒や、難しい言葉を使っている生徒がいたり、早すぎて聞き取れず、反論に苦戦したりした場面が度々ありました。完璧とはいかなかったものの、チームで3回中2勝することができました。このチームディベートでは審判が各チームの態度や内容で採点し、総合点を競います。結果、私たちのチームは上位40%に入ることができました。それぞれの時間配分の工夫や、役の分担、チームワークが活きた結果であり、練習を重ねた甲斐があったとうれしく思います。相手の意見を尊重しつつ、いかに自分の意見を論理的に裏付けて説得することができるかというのはとても難しく、しかし、世界を相手にそれができたということは自信に繋がりました。また、個人のライティング部門でも、同様になんとか上位40%に入ることができました。しかし、同じ日本からの生徒の中にはもっとよい成績を取っている人はもちろん、入賞している人もいました。世界の壁の高さを痛感したと同時に、より一層の努力が必要だと、今後の課題も発見することができました。

競技が全て終了した日の夜には、大きな会場でScholars Ballという毎年恒例のダンスパーティーが行われ、閉会式の前には自分の特技を披露するタレントショーがありました。特技だけでなく、国の伝統的な踊りや歌を披露する参加者も多く、私たち日本チームは全員でソーラン節を披露しました。競技外でも日本語を極力使わずに英語で会話することを心がけ、自由時間や移動時間では自分から積極的にコミュニケーションを取るようにしたので、非常に有意義な時間を過ごせたと思います。その国の人からしか聞けない話や、政治に関する意見交換など、普段の生活ではできない体験ができました。

私はこの大会で、とても大切なことに気づかされました。大会参加国は実に世界50カ国近く。それぞれ異なる宗教や文化を持っているにも関わらず、そこにいる生徒たちはすぐに打ち解け、見受けられたのはみんなでよりよいコミュニティーを築き上げようとする本来あるべき世界の姿でした。現在、世の中ではグローバル化が進み、国同士の壁が徐々になくなりつつあり、同時に、世界には解決しなければならない問題が数え切れないほどあります。しかし、こんな時代だからこそ、国籍、人種、宗教を超えて未来を創っていく必要があるのではないかと深く考えさせられました。

最後にこの場をお借りして、応援してくださった山手の先生方、いつも応援してくれている友人たち、どんな時でも全力でサポートしてくれる家族、人生でまたとないこの素晴らしい機会を与えてくださった全ての方々に心から感謝いたします。本当にありがとうございました。この経験を今後に活かし、日々精進していきたいと思います。

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KLCC(クアラルンプール・コンベンションセンター)

メイン会場で、主に開会式、閉会式、タレントショーといった、全員が一度に参加するときに使うとても大きなホールです。

 

 

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